日本選手権とは

はじめに ~2017年 日本カート選手権の概要~

フォーミュラレースにはF1からFJ1600まで、さまざまなカテゴリー/レースがあります。それと同様に、レーシングカート(カート)にも参加者のレベルや参戦趣旨に合わせたさまざまなカテゴリー/レースが存在します。そんな多彩なカートレースの中で、上級レベルに位置するのが、日本自動車連盟(JAF)が制定する『日本カート選手権』です。これは、各地のローカルレースで腕を磨き、よりレベルの高い戦いを求めるようになったドライバーたちのために設けられた、日本各地を転戦するレースシリーズ。いわば“国内トップレベル”のカートレースです。

2017年の『日本カート選手権』は、3つの選手権で構成されています。ひとつは、文字どおり日本一のカートドライバーを決定する『全日本カート選手権』。次に、広域転戦シリーズの入門版で、各地域のチャンピオンを決定する『地方カート選手権』。そして、15歳以下のジュニアドライバーのために設けられた『ジュニアカート選手権』です。

各地のレースで腕を磨いてきたドライバーたちが演じる戦いは、ドライビング、バトル、レース運び、マシンのセッティング……とあらゆる面でハイレベル。『日本カート選手権』には、ローカルレースとはまた違った、上級レースならではの熱気と興奮が詰まっています。

 

2017年 全日本カート選手権

日本で開催されるカートレースのシリーズ戦で、もっとも上位に位置するのが『全日本カート選手権』です。これは、日本でもっとも速く強いドライバーを決定するシリーズ戦。国際カートレースやフォーミュラなどの自動車レースに直結する、国内カートレースの最高峰です。2017年の『全日本カート選手権』では、レベル・実績別に『OK』『FS-125』というふたつのクラス(部門)のシリーズ戦が実施されています。

OKクラス ~カートのF1!~

国内カートレースの最高峰に位置するこのクラスは、国際カート委員会(CIK-FIA)のカテゴリー改訂にならって、2017年にKFクラスからOKクラスへ変更されました。ドライビングの技術もマシンの性能もチーム力も、すべての面でダイレクトドライブカート(変速装置のないカート)のレースの頂点に位置するのが、このOKクラスです。

KFクラスとOKクラスはどちらも、各々のクラス専用に設計された125cc水冷のリードバルブ吸気エンジンと、最大ベンチュリー径24mmのバタフライバルブ式キャブレターを使用するレースです。ただし、両クラスにはいくつかの違いがあります。主な相違点は以下のとおりです。
【KFクラス(〜2016年)】
・エンジン始動:電気式スターター使用
・エンジン最高回転数: 15,000rpm
・フロントブレーキ:装着可
・最低重量:158kg
【OKクラス(2017年〜)】
・エンジン始動:押しがけ(エンジンにデコンプレッションバルブを装備)
・エンジン最高回転数: 16,000rpm
・フロントブレーキ:禁止
・最低重量:145kg

OKクラスに参加できるのは、国際B以上のドライバーライセンス所持者か、国際Cまたは国内Aのドライバーズライセンス所持者で下記のいずれかの資格を満たした選手のみです。
1.前年の全日本カート選手権のKFクラスの出場実績
2.過去の全日本カート選手権のスーパーKFクラス、KF1クラス、KFクラスで年間ランキング10位以内
3.前年の全日本カート選手権FS-125クラスで年間ランキング10位以内
4.JAFによって特に認められた者(海外での実績等)

OKクラスを特徴づける大きな要素のひとつが、タイヤです。OKクラスのタイヤは、スーパーGTと同じように、メーカーもコンパウンドも自由。複数のタイヤメーカーがこの選手権に参入し、特別開発された高性能のスペシャルタイヤ(市販されていないタイヤ)をレースに投入して、互いの技術力を競い合っています。耐久性と引き換えに最高レベルのグリップ力を与えられたタイヤから、いかに100%の能力を引き出しながら、ゴールまでその性能を保たせるか。これがOKクラスのマシンを乗りこなすための大きなポイントとなります。

シリーズは5つの大会で構成され、それぞれの大会で予選と決勝を2回ずつ実施。つまり、年間10戦のシリーズ戦です。この10戦のうち、大きなポイントを獲得した8戦の合計ポイントによって年間ランキングが決まります。決勝だけでなく予選の順位にもポイントが与えられることは、全日本カート選手権の特色のひとつです。2017年はレース開催コースに埼玉県・本庄サーキットが新たに加わりました。

ドライバー、カート/エンジン/タイヤの各メーカー、エンジンチューナー、レーシングチーム……と大勢の人々が力を集結し、それぞれの名誉を懸けて繰り広げる、熱くハイレベルな戦い。OKクラスは、いわば“カートのF1”なのです。

 

FS-125クラス ~ローコストで参加できる全日本の入門編~

FS-125クラスは2011年に始まった、全日本カート選手権のファーストステップ。これは国際カテゴリーであるOKクラスとは異なり、日本独自のカテゴリーです。

参加資格は国内A以上のドライバーライセンスを所持するシニアドライバー。ただし、ジュニアAかジュニア国際のドライバーライセンス所持者でも、前年の地方選手権FS-125クラスで年間ランキング5位以内になるか、ジュニア選手権FP-Jrクラスでチャンピオンになれば、当該年14歳(その年に14歳に達する人)で参加することができます。

エンジンは2ストローク125cc水冷。ただしOKクラスとは異なり、ローコスト化とイコールコンディション化のため無改造ワンメイクと決められています。2015年のワンメイク指定エンジンは、イアメ・パリラX30です。また、タイヤは一般に市販されているオプション(ハード)タイプのハイグリップタイヤがワンメイクで使用されます。

シリーズ構成も、OKクラスとは大きく異なります。
FS-125クラスでは、日本を東西ふたつの地域に分け、まず東地域と西地域でそれぞれ5戦(1大会1レース制)を実施。そののち、両地域のドライバーがひとつのサーキットに集まって東西統一競技会(シリーズポイントは第1戦〜第5戦の1.5倍)を行ない、全6戦を有効5戦で集計したシリーズポイントによって、東西両地域を通じた年間ランキングが決定されます。

全日本選手権らしい緊迫感と、ワンメイクレースならではの和やかさ、そして若きドライバーたちが醸し出すフレッシュな雰囲気が混在するFS-125クラスは、ローカルレースや地方カート選手権を卒業したドライバーたちにうってつけのレースといえるでしょう。

 

2017年 地方カート選手権

地方カート選手権は、日本をいくつかの地域に分け、それぞれの地域でチャンピオンシップを行なうシリーズ戦。
ローカルレースと全日本カート選手権の中間に位置するレベルのレースです。
2017年の地方カート選手権には『FS-125』『FP-3』『FC-2リブレ(SK2/SK3/SK4)』のクラス(部門)が設けられています。

FS-125クラスとFP-3クラスは、東地域と西地域でそれぞれ全5戦のシリーズ戦が行なわれます。これらはすべて全日本カート選手権FS-125クラスの東西各地域の大会(第1戦〜第5戦)の中で同時開催され、各地域でそれぞれチャンピオンが誕生します。東地域と西地域で開催されるこのシリーズ戦は“地域シリーズ”と呼ばれるものです。
地方カート選手権にはもうひとつ、1ヵ所または数ヵ所のコースでシリーズ戦を構成する“コースシリーズ”が設定されています。2017年は茨城県・筑波サーキットと岡山県・岡山国際サーキットで、変速機付きエンジンを使用するFC-2リブレクラスのコースシリーズがそれぞれ開催予定です。

FS-125クラス ~全日本につながるハイパワーレース~

このクラスの参加資格は、国内B以上のドライバーライセンスを所持するシニアドライバー、またはジュニアAかジュニア国際のドライバーライセンスを所持する当該年13歳(その年に13歳に達する人)以上で一定の条件(前年のジュニアカート選手権の出場実績など)を満たす選手。ひとつの大会でFP-3クラスに同時出場することは認められていません。

エンジンは全日本カート選手権FS-125クラスと同じで、イアメ・パリラX30(2ストローク125cc水冷)の無改造ワンメイクです。ただし、タイヤは全日本と異なり、一部のローカルレースでも使用されているコンパウンドのワンメイクです。

全日本と共通のハイパワーな125ccエンジンと、各地を転戦するレースシステム、そして全日本と同時開催の熱気に満ちた大会は、ステップアップを目指すドライバーに最適なものといえるでしょう。

FP-3クラス ~大人のための檜舞台~

参加資格は、国内B以上のドライバーライセンス所持者。
2016年までは満18歳以上のドライバーに参加が限定されていたのですが、2017年に年齢制限がなくなり、当該年15歳(その年に15歳に達する人)から参加できるようになりました。

エンジンは2ストローク100cc空冷ピストンポート吸気で、ヤマハKT100SEC/KT100Sの無改造ワンメイク。タイヤは通称“SLタイヤ”のワンメイク。ローカルレースの初・中級者向けクラスと共通性の高い車両規則は、コストの面でもマシンの準備の面でも、参加へのハードルを低いものにしています。

このシリーズは、ワンメイクエンジンのメーカーであるヤマハ・モーターパワープロダクツが支援。各大会にスタッフを派遣して技術面をサポートし、ランキング上位になったドライバーに賞品や記念品を贈呈しています。

 

2017年 ジュニアカート選手権

15歳以下のドライバーたちが、ジュニア日本一の栄冠を懸けて戦いを繰り広げるシリーズ戦。
年齢別に『FPジュニア(FP-Jr)』『FPジュニアカデット(FP-Jr Cadets)』とふたつのクラス(部門)が実施されています。

エンジンはどちらのクラスも、ヤマハKT100SECの無改造ワンメイク。さらにローコスト化とイコールコンディション化を徹底するため、一律に整備したエンジンを抽選で参加者に配布する“デリバリー制”を採用しています。

シリーズ構成は全日本カート選手権FS-125クラスと同じ。東西それぞれの地域で5戦(1大会1レース制)を行なった後、一年の最後に東西統一競技会(シリーズポイントは第1戦〜第5戦の1.5倍)を実施し、全6戦のシリーズポイントを有効5戦で集計してひとりのチャンピオンを決定するシステムです。
すべてのレースが全日本FS-125クラスの大会の中で同時開催されます。

FPジュニアクラス ~ジュニアの日本一決定戦~

ジュニアカート選手権の“高学年”クラス。
参加資格は当該年12歳(その年に12歳になる人)〜15歳(シニアライセンスに切り換えていないこと)。JAF発給のジュニアドライバーライセンスがあれば参加できますが、ジュニアBライセンスの場合はライセンス取得後クローズド格式以上のレースに3回以上出場した実績が必要です。

シャシーは基本的に全日本カート選手権や地方カート選手権で使用されているものと同じ。体格の小さなドライバーは、ペダルキットを装着するなどの工夫で大人用のカートを操縦できるようにしています。タイヤはワンメイクで、JAF指定の通称“SLタイヤ”を使用します。

1999年の設立以来、小林可夢偉、大嶋和也、塚越広大など多数の一流ドライバーを、4輪レースのトップカテゴリーへと輩出。
新たな才能の発掘場所としても広く注目されているレースです。

FPジュニアカ デットクラス ~小さなドライバーの大きなファイト~

ジュニアカート選手権の“低学年”クラス。
参加資格は当該年10歳(その年に10歳になる人)〜13歳(その年に13歳に達した人)。

ジュニアドライバーライセンスがあれば参加できますが、ジュニアBライセンスの場合はライセンス取得後クローズド格式以上のレースに3回以上出場するか、JAF公認カートコースで20時間以上のスポーツ走行を経験した実績が必要です。

シャシーはFPジュニアクラスと異なり、ジュニアドライバー専用の小さなサイズ(ホイールベース900mm以上950mm以下)のものを使用します。エンジンはFPジュニアクラスと同じなのですが、吸気リストリクターによってキャブレターが吸い込む空気の量を制限し、パワーを低めに抑えています。
控えめのエンジンパワーに合わせて、タイヤもFPジュニアクラスよりグリップ力を抑制した“SLJ”と呼ばれるものをワンメイクで使用します。

小柄な体格と小さなマシンの可愛らしい見た目は、思わずギャラリーの微笑みを誘うのですが、そのファイトは大人顔負け。
大集団による一進一退のバトルがスタートからゴールまで続き、場内を興奮の渦に巻き込むことも少なくありません。